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修繕積立金が足りないと分かったら|値上げ・借入・一時金、それぞれの現実

二度目の大規模修繕で資金が足りないと判明する管理組合は珍しくありません。新築時の長期修繕計画を見直していないこと、物価と人件費の高騰。原因と、値上げ・借入・一時金という3つの選択肢の現実を整理しました。

2026.08.16 更新

「積立金が足りない」と分かるのは、たいてい二度目の大規模修繕の検討に入ったときです。一度目は新築時の計画どおりに済んだのに、二度目で数字が合わなくなる。これは特定のマンションの失敗ではなく、かなり広く起きていることです。

なぜ足りなくなるのか

理由は大きく2つあります。

ひとつは、長期修繕計画を一度も見直していないこと。 新築時に渡された計画は、あくまでその時点の想定です。建物の使われ方も、設備の劣化具合も、実際には計画どおりには進みません。見直さないまま20年、30年が経つと、前提が現実からずれていきます。

もうひとつは、物価と人件費の高騰です。 想定していた工事費で、同じ工事ができなくなっている。これは管理組合の努力ではどうにもならない部分です。

つまり「うちの管理組合がだらしなかったから」という話ではないことが多い。まずそこは切り分けておいたほうがいいと思います。

選択肢は3つ、そして順番がある

1. 積立金を値上げする

本筋はこれです。ただし総会の決議が要るので、合意形成が壁になります。値上げはトラブルの元になりやすく、いきなり議案を出すと否決されることもあります。

進め方として現実的なのは、複数の値上げパターンを提示してアンケートを取るやり方です。「月いくら上げます」の一択で賛否を問うより、選択肢を示して意見を集めるほうが、合意に近づきます。

2. 金融機関から借り入れる

値上げが必要なのに総会で可決されなかった場合、借入という手段があります。ただし将来の積立金から返済するので、先送りには違いありません

3. 区分所有者から一時金を徴収する

これも可能ですが、負担感が大きく、合意はさらに難しくなります。

深刻な資金不足に陥る前に、積立金を適正に値上げして財務状況を立て直す——これがいちばん筋がいい、と言われるのはこのためです。順番を間違えると、選択肢のほうが減っていきます。

その前に、計画そのものを疑う

値上げ幅を決めるには、まず長期修繕計画を作り直す必要があります。古い計画のまま「いくら足りない」を計算しても、その数字自体が当てになりません。

設計事務所やマンション管理士に、新しい長期修繕計画の作成を依頼できます。そしてこの費用に補助を出している自治体があります

たとえば藤沢市は、長期修繕計画の作成・見直し費用に2分の1・上限20万円(建物調査費も対象)を補助しています。横浜市にも長期修繕計画の作成を促す補助事業があります。

「計画を作り直すお金がない」で止まっている組合ほど、まずここを確認する価値があります。

見落とされがちなこと

修繕積立金の議論は、外壁や屋上の話になりがちです。ただ、給排水管という大きな支出が控えていることも押さえておく必要があります。国の長期修繕計画の考え方では、給排水管の更新工事はおおむね築30〜40年で想定されています。規模によっては数千万円から、それ以上になります。

外壁の大規模修繕だけを見て「これで足りる」と判断すると、その次で詰まります。

進め方

  1. 長期修繕計画を見直す(補助が使えるか自治体に確認)
  2. 実態に合った必要額を出す
  3. 値上げのパターンを複数用意して、区分所有者の意見を聞く
  4. そのうえで総会に諮る

自治体の制度は市ごとにかなり違います。神奈川のマンション管理組合が使える支援・補助制度まとめ に神奈川県内の状況をまとめました。

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