ホーム / 選び方 / 大規模修繕のコンサル・業者を見極める|国交省が注意喚起する「利益相反」とは何か
大規模修繕のコンサル・業者を見極める|国交省が注意喚起する「利益相反」とは何か
設計監理方式で第三者のはずのコンサルタントが、実は特定の工事会社とつながっている——国土交通省が管理組合に注意を促している問題です。何が起きるのか、管理組合は何を確認できるのか。特定の会社を勧めるものではなく、判断の物差しとして整理しました。
大規模修繕は、管理組合にとって何千万円、規模によっては億単位の発注です。しかも役員の多くは輪番制で、専門知識を持たないまま担当が回ってきます。発注する側に知識がなく、金額が大きい——この組み合わせが問題の温床になります。
国土交通省は「マンション大規模修繕工事の発注等の適正化について」という通知を出し、管理組合に注意を促しています。ここでは、その中身を管理組合の目線で整理します。
何が問題になっているのか
設計監理方式は、第三者のコンサルタントが設計と工事監理を担うことで、透明性を確保する仕組みです。その第三者性が形だけになっている場合がある、というのが指摘されている問題です。
コンサルタントが特定の工事会社と裏でつながっていれば、仕様も、入札の設計も、その会社が有利になるように作れます。管理組合から見れば「専門家が中立に選んでくれた」ように見えるのに、実際には結論が先に決まっている。
そのため国交省の通知では、コンサルタントが利益相反行為を起こさない中立的な立場を保つことの重要性が強調されています。
管理組合が確認できること
専門知識がなくても確認できる点があります。
実績の開示を求める。 過去にコンサルティングしたマンション名と住所、そして担当した工事会社名を記載した管理実績表を開示しているか。特定の工事会社の名前が繰り返し出てくるなら、その理由を聞く価値があります。
選定のプロセスを聞く。 工事会社をどういう基準で、どう選ぶのか。基準が事前に文書化されているか。
報酬の出どころを確認する。 コンサルタントの収入が管理組合からの報酬だけなのか。工事会社側から受け取るものがないと明言できるか。
極端に安い提案を疑う。 コンサルタント費用が相場よりかなり安い場合、どこかで別の収入があると考えるのが自然です。
責任施工方式なら起きないのか
コンサルタントを間にはさまないため、その経路での談合は構造的に起こりません。ただし、仕様が妥当かどうかを管理組合が自分で判断しなければならない、という別の課題が残ります。「談合が起きない」と「適正価格で発注できる」は同じことではありません。
方式ごとの向き不向きは、大規模修繕の発注方式の選び方 に整理しました。
提案で選ぶという方法
各社の仕様と金額を見て、最もふさわしい提案をしてきた会社に発注するプロポーザル方式は、価格だけの競争にならないぶん、談合が成立しにくいと言われます。管理組合の要望も反映されやすくなります。
いちばん確実なのは、利害のない目を先に入れること
ここまで書いてきたことは、すべて「管理組合が自力で見抜く」話です。しかし現実には、それを役員だけでやるのは重い。
だから自治体の相談窓口や専門家派遣を先に使う意味があります。市が派遣するマンション管理士や建築士は、その工事で儲ける立場にありません。利害のない人に、提案書を一度見てもらう——これがいちばん実効性のある防御になります。
横浜市では2025年10月に、住宅供給公社が大規模修繕工事の入札代行サービスを創設すると発表しました。業者選定そのものを公的な立場から支援する仕組みです。川崎市は管理組合登録をしていれば専門家派遣を3回まで無料で受けられます。相模原市は1回目が無料です。
制度は市によってかなり違います。 神奈川のマンション管理組合が使える支援・補助制度まとめ にまとめてあるので、自分の市で何が使えるかを先に確認してください。
なお、この記事は特定の会社を勧めるものでも、批判するものでもありません。判断の物差しとして使ってもらえればと思います。