給排水管は「更生」か「更新」か|更生は費用が半分、ただし耐用年数10年程度
更生工事は既存の管にコーティングする方法で、交換の2分の1〜3分の1の費用。ただし施工後の耐用年数は10年程度で、劣化が激しいとそもそも施工できません。世帯数が少ないと、更新のほうが安くなることもあります。
この記事の情報は2026年8月26日時点で確認したものです。費用相場は建物の規模・仕様・地域によって大きく変わります。判断の前に、必ず複数社から見積もりを取ってご確認ください。
外壁の大規模修繕は議題になりやすいのに、給排水管は後回しになりがちです。見えないところにあるからです。
しかし金額の規模は、大規模修繕に匹敵します。そして判断の分かれ目がはっきりしているので、そこを整理します。
2つの方法があります
更生工事
既存の排水管に専用の塗料を流し、コーティングすることで補修する。交換工事の2分の1〜3分の1程度の費用で施工でき、掘削作業などが不要なため、交換工事よりも工期が短い。
更新工事
配管そのものを新品に取り替える方法です。内装の解体と復旧が伴います。
更生の落とし穴
安く早いなら更生でいい、とはなりません。
施工後の耐用年数は10年程度で、配管の劣化が激しいと、そもそも施工できません。
ここが判断の核心です。
- 耐用年数が10年程度 → 更新なら数十年もつのに対し、更生は10年後にまた検討が必要になる
- 劣化が激しいと施工できない → 先延ばししすぎると、更生という選択肢自体が消える
つまり、更生は「まだ間に合ううちに」しか選べません。「そのうち考えよう」で10年置くと、更新一択になります。
世帯数が少ないと、逆転することがあります
これは意外と知られていません。
更新工事は内装復旧費用が必要となりますが、ワンルームタイプの場合は25万円程度から、ファミリータイプでも70万円程度から。世帯数が少ない場合は、更生工事とほぼ変わらない費用となる可能性があります。
小規模なマンションでは、更生の割安さが効かないことがある。戸数で計算が変わるということです。
一方で規模が大きいと、差は劇的になります。
更新工事の見積もりが約2億6千万円だったのに対し、更生工事では約半分の費用で済むという試算もあります。
億単位の差が出る規模もある。だからこそ、両方の見積もりを取る意味があります。
判断の材料
更新工事と更生工事のどちらがマンションの現状に最適かを見極めるためには、業者から詳しく説明を受けることが必要です。
管理組合として揃えるべきは、
- 配管の現状調査(内視鏡や抜管による調査。推測ではなく実測)
- 更生・更新それぞれの見積もり(同じ範囲で)
- それぞれの耐用年数と、次に手を入れる時期
- 工事中の生活への影響(断水の日数、在宅の必要性、専有部に入る日程)
- 長期修繕計画への反映
4番は住民の合意に直結します。 各戸に作業員が入る工事なので、日程調整だけで数か月かかることがあります。
共用部と専有部の線引き
給排水管には共用部分と専有部分があり、どこまでを管理組合が負担するかは管理規約によります。
「共用部だけ更新したが、専有部が古いまま」だと、そこから漏水が起きます。規約の確認と、専有部をどう扱うかの方針を、工事の前に決めておく必要があります。
時期の目安
国の長期修繕計画の考え方では、給排水管の更新工事はおおむね築30〜40年で想定されています。
築30年が見えてきたら、まず調査です。調査してから選択肢を考える——その順番なら、更生という安い選択肢がまだ残っています。
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