役所が公表している名簿と公式情報をもとに作成しています。「PR」表示は掲載契約にもとづく広告です。

コラム

水道修理の広告と、市の指定工事店|同じ画面に並んでも、契約のルールは違います

水漏れで検索して最初に出てくる広告と、市町村が公表している指定給水装置工事事業者の名簿は別物です。自分で呼んだ業者でも、訪問して契約した場合はクーリング・オフの対象になりうること、書面で押さえる項目を、条文と公表資料で確かめました。

目次
  1. 先に水を止める。話はそれからです
  2. 何が起きているのか
  3. 「自分で呼んだから仕方ない」とは限りません
  4. 書面で押さえる項目
  5. 横浜市と川崎市は「修理に対応する業者」の一覧も出している
  6. 広告と名簿は、別々に確かめる

この記事の情報は2026年10月1日時点で確認したものです。制度や連絡先は変わることがあるため、実際に依頼する前に、お住まいの市区町村や公式の窓口でご確認ください。

水が漏れている状態でスマホを開くと、検索結果の一番上に「〇〇円〜」「最短20分」という広告が並びます。その並びは、技術や指定の順番ではありません。広告費の順番です。

そして、そこで結ばれる契約には、市の名簿から選んだときとは別の論点がついてきます。契約の話として整理します。

先に水を止める。話はそれからです

急かされた状態で結ぶ契約が、いちばん高くつきます。だから順番を逆にします。

東京都水道局は、水が止まらないときの応急措置として止水栓を閉めることを案内しています(東京都水道局「水が止まらない」)。トイレや湯沸器も、止水栓を閉めてから工事店に連絡する流れです。家全体を止めるなら、量水器ボックスの中のバルブを閉めます。

水が止まれば、見積もりを取ってから決められる状態になります。閉め方は止水栓の閉め方の記事にまとめています。

何が起きているのか

国民生活センターは2021年10月7日に、水回り修理・解錠・害虫駆除などの「暮らしのレスキューサービス」のトラブルについて公表しています(報道発表)。

年度 相談件数 うちインターネット広告が関わるもの
2016年度 2,437件 19.2%
2018年度 3,386件 25.6%
2020年度 5,882件 41.1%
2021年8月末まで 2,307件 48.1%

同じ資料に、「料金390円から」と表示されたトイレ修理が最終的に約55万円になった事例が挙げられています。

消費者庁も2025年7月31日に、ウェブサイト上では低額な料金を表示しながら実際には高額な料金を請求する水回りトラブル対応業者について、事業者名を挙げて注意喚起を出しています(消費者庁の注意喚起)。

共通しているのは手口の形です。安い表示で呼び、現場で「この作業が必要」と積み上げ、その場で支払わせる。

「自分で呼んだから仕方ない」とは限りません

ここが契約の話の中心です。

事業者が営業所以外の場所、つまり自宅で契約の申込みを受けたり契約を結んだりすれば、それは特定商取引法上の訪問販売にあたります(特定商取引法第2条第1項第1号)。訪問販売にあたる場合、法定の書面を受け取った日から起算して8日間は、書面または電磁的記録で申込みの撤回や契約の解除ができます(同法第9条第1項)。

ただし同法第26条第6項第1号に例外があり、「その住居において契約の申込みをし、または契約を締結することを請求した者」への訪問販売には、この規定が適用されません。自分で電話して呼んだのだから該当するのでは、と思うところです。

この点について、消費者庁は訪問販売等の適用除外に関するQ&Aで解釈を示しています。「請求した者」とは、購入者が契約の申込み・締結をする意思をあらかじめ持っていて、自宅でそれを行いたい旨の明確な意思表示をした場合を指すとされています。

そのうえで、チラシに「3,000円〜」とあったので修理を依頼したら数万円になったという事例について、表示額と請求額に相当な開きがあることから、消費者は当初その安い表示額で契約する程度の意思しか持っていなかったことが明らかであり、「請求した者」とはいえず適用除外の対象にならないと考えられる、としています。

広告の「〇〇円〜」を見て呼んだのに、現場で桁が変わった。この形は、まさにこの考え方が当てはまる場面です。クーリング・オフを最初からあきらめる理由はありません。個別の事案がどうなるかは事実関係次第なので、判断は自分でせず、消費者ホットライン188に相談してください。

なお、8日間の起算日は「法定の書面を受け取った日」です。書面が交付されていなければ、起算日が来ないままになります。

書面で押さえる項目

訪問販売では、事業者に書面の交付義務があります。特定商取引法第4条第1項が挙げているのは次の項目です。

  1. 役務の種類
  2. 役務の対価
  3. 対価の支払の時期および方法
  4. 役務の提供時期
  5. 申込みの撤回・契約の解除に関する事項(クーリング・オフ)

水道修理で実際に揉めるのは、この「役務の対価」の中身です。作業を始める前に、次の4つが分かれて書かれているかを見てください。

項目 見るところ
作業内容 どこを、どう直すか。「一式」だけなら比べられない
部材 使う部品と数量。持ち帰った古い部品も見せてもらう
出張費 作業料と別か、含むか
時間外・深夜料金 割増があるか、何時からか

見積書の読み方は見積書のどこを見るかに分けて書いています。金額に納得できないときは、その場で払わないことです。支払ってしまうと、取り戻す話に変わります。

横浜市と川崎市は「修理に対応する業者」の一覧も出している

指定の名簿は、指定を受けた会社が全部並んだものです。新築の配管しかしない会社も入っています。

神奈川では、その中から修理に対応する会社を分けて出している水道事業者があります。

横浜市は「メーター下流側漏水修繕事業者リスト」を出しています。市の指定を受けた事業者のうち、掲載を申し込んだ会社を区ごとに並べたもので、毎月更新されます。リストには市の注意書きが付いていて、見積りだけ・現場調査だけでも有料の場合がある、休日・夜間は通常より高い場合がある、と先に書かれています。

川崎市は「修繕施行事業者名簿」を区ごとに出しています。この名簿に載るには、上下水道局の要綱で決められた約束を守る必要があります。そのうち、料金に関わるものはこうです。

いつ 事業者がすること
受付のとき 出張費・見積り作成の費用・夜間休日の割増を説明する
工事の前 修繕にかかる費用を書面で示す
工事の途中 費用が変わるときは説明する
工事のあと 施工の内容・使った材料・費用と内訳を書面で示す

上の「書面で押さえる項目」と、ほとんど同じです。川崎市は、それを守る会社だけを名簿に載せているということです。ほかに、市が負担する範囲の漏水なら上下水道局を案内すること、3年ごとの研修に出ることも約束に入っています。

どちらも、市が「この会社なら安心」と保証するものではありません。それでも、広告の並び順とは違う基準で選ばれた一覧が、役所から出ています。漏れている場所によっては、そもそも業者ではなく水道局が無料で直す範囲のこともあります。その線は水漏れの修理代は誰が払う?に、事業者ごとに書きました。

広告と名簿は、別々に確かめる

広告に「水道局指定」とあっても、それがどこの指定かは書かれていないことがあります。指定は市町村(神奈川では県営水道の区域もあります)ごとに出るもので、確かめる方法は、その水道事業者が公表している指定給水装置工事事業者の名簿で会社名を引くことだけです。

急いでいるときにそこまで調べるのは難しいので、水を止めて、時間を作ってから調べるという順番になります。この地域の水まわりの事業者は水まわりの一覧にまとめています。

呼ぶ前にやることは、結局この3つです。止水栓を閉める。作業前に書面をもらう。その場で払わない。

この記事について

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