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私道の掘削承諾がもらえない|2023年の民法改正で、状況が変わっています

水道管やガス管の工事で私道を掘るのに、他の所有者から承諾がもらえない。家が建てられない、売れないという事態になりがちな問題ですが、2023年の民法改正(213条の2)で承諾なしに掘削できる道ができました。ただし実務の運用は別です。

**この記事の情報は2026年8月25日時点で確認したものです。**制度や運用は自治体・時期・契約内容によって変わります。行動の前に、必ずご自身で最新の内容をご確認ください。

家を建てたい、建て替えたい、あるいは売りたい。そこで水道管やガス管を新しく引き込む、または交換する必要が出る。ところが前面道路が私道で、他の所有者から掘削の承諾がもらえない

これは「話が進まない」では済まない問題です。配管が引けなければ家が建たず、結果として土地が売れないことになります。

何が起きているのか

私道にかかわるトラブルで多いのが、既存の水道・下水道管・ガス管の交換や新設工事をするときに、他の私道所有者から「私道掘削承諾書」や「通行承諾書」をもらえないケースです。

私道は共有だったり、細かく分筆されて隣近所が持ち合っていたりします。関係が悪い、連絡がつかない、相続で所有者が分からない——理由はさまざまですが、一人でも欠けると工事が止まる、という構図になります。

2023年に、法律が変わりました

ここが知られていない点です。

2023年の民法改正により、特定の条件を満たす場合には、所有者の承諾がなくても私道の掘削が可能となりました。

民法213条の2では、生活に不可欠な設備である水道管の設置について、一定のルールに従えば認められるとされています。

つまり、「承諾がもらえないから絶対に無理」という状態ではなくなったということです。以前の情報を前提に諦めている方は、確認する価値があります。

ただし、実務の運用は別です

法律が変わっても、現場がすぐ変わるとは限りません。

現場では、私道共有者全員から「通行・掘削承諾」を求められる運用が今も根強く残っています。

とくに位置指定道路では、道路利用の安定性が重視されるため、自治体が慎重になる傾向があるとされます。

「法改正があるから大丈夫」と押し切れる話ではなく、法改正を踏まえたうえで、実際の窓口や事業者と調整する必要がある、というのが実情です。

承諾が得られない場合の道筋

承諾が得られないとき、事態を動かす方法として挙げられるのは次の3つです。

  1. 交渉
  2. 民事調停
  3. 訴訟

いきなり訴訟ではなく、調停という中間の選択肢があることは知っておいてよいと思います。裁判所が間に入る形で、費用も期間も訴訟より抑えられることが多い手続きです。

進め方

  1. 私道の権利関係を調べる(登記簿で所有者と持分を確認する)
  2. 必要な工事の内容を明確にする(何を、どこまで掘るのか)
  3. 水道局・自治体の窓口に、現在の運用を確認する(法改正を踏まえてどう扱われるか)
  4. 承諾を求める(丁寧に、書面で)
  5. 得られない場合、弁護士に相談する(交渉・調停・訴訟のどれが適切か)

3番を先にやることをおすすめします。自治体や水道局が実際にどう運用しているかで、必要な承諾の範囲が変わるからです。ここを飛ばして近隣交渉から入ると、要らない相手にまで頭を下げることになりかねません。

土地を買う前なら

私道に面した土地を検討している段階なら、掘削承諾が取れているか、取れる見込みがあるかは、契約前に必ず確認すべき点です。「安いと思ったら配管が引けなかった」は、取り返しがつきません。

がけ地の土地で擁壁が必要になるのと、構造としては同じ話です(がけ条例とは?)。土地の値段には、見えない条件が乗っています。