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選び方

「お宅の屋根がずれている」と訪ねてきた業者に、屋根へ上らせない|点検商法の断り方

近所で工事をしていると言って訪ねてくる無料点検。国民生活センターへの点検商法の相談は2025年度で1万9,696件。その場で決めない、屋根に上らせない、許可番号を控える。この3つで防げます。

目次
  1. 相談は増えている。しかも減っていない
  2. なぜ「点検させない」が効くのか
  3. 「火災保険を使えば負担ゼロ」と言われたら
  4. 契約してしまったときの8日間
  5. 許可番号を控えておく
  6. 最後に、3つだけ

この記事の情報は2026年9月30日時点で確認したものです。制度や連絡先は変わることがあるため、実際に依頼する前に、お住まいの市区町村や公式の窓口でご確認ください。

「近くで工事をしていまして、お宅の屋根がずれているのが見えたので」——インターホン越しにこう言われたとき、どうするか。

先に結論です。その場で点検を受けない。屋根に上らせない。この2つだけで、相談件数の多くを占めるパターンは避けられます。屋根が本当に傷んでいるなら、あと数日待っても状況は変わりません。

相談は増えている。しかも減っていない

国民生活センターは2023年10月11日に「屋根工事の点検商法のトラブルが増えています」という注意喚起を出しています。そこに載っている屋根工事の点検商法の相談件数は、こうです。

年度 件数
2018年度 923件
2019年度 1,157件
2020年度 1,824件
2021年度 2,352件
2022年度 2,885件

4年で3倍を超えています。そして契約当事者の8割超が60歳以上です。

屋根に限らない「点検商法」全体で見ると、国民生活センターの相談トピックス(2026年7月31日更新)では、2023年度12,550件、2024年度19,249件、2025年度19,696件。注意喚起が出たあとも減っていません。

離れて暮らす親の家に、この話が向かうことがある、という数字の並びです。

なぜ「点検させない」が効くのか

点検商法の相談で共通しているのは、屋根の上で何が起きたかを、家の人が確認できないという点です。

国民生活センターが挙げている典型的な勧誘トークは、次の4つに整理されています。

  1. 訪問・点検のきっかけとなるトーク(「近くで工事をしている」「挨拶に来た」など)
  2. 消費者の不安をあおるトーク
  3. 消費者の負担が軽くなると思わせるトーク
  4. 次々に違う工事やサービスを勧誘するトーク

1で上がり、2で写真を見せられ、3で「保険が使える」と言われ、4で工事が膨らんでいく。この順番です。

1を止めるのがいちばん安上がりです。上がられてしまうと、撮ってきた写真が本当に自宅の屋根なのか、その傷みが元からあったものなのかを、こちらが検証する手段がありません。

国民生活センターのアドバイスも1番目は「突然訪問した業者には点検させない」です。断り方は難しく考えなくて大丈夫です。「うちは頼んでいる会社があるので結構です」で終わりにしていい話です。

「火災保険を使えば負担ゼロ」と言われたら

不安をあおったあとに来るのが、この一言です。

国民生活センターは2021年9月2日にも「保険金で住宅修理ができると勧誘する事業者に注意!──申請サポートを受ける前に、損害保険会社に連絡を 保険金の請求は、加入者ご自身で!!」という注意喚起を出しています。タイトルそのものが要点になっています。

  • 保険金の請求は、申請サポート会社に頼らなくても加入者自身でできます
  • 勧誘を受けた時点では、そもそも保険金が支払われるかどうかも分かりません

日本損害保険協会も、住宅修理に関するトラブルとして同じ注意喚起を出しています。業者と契約する前に、契約している損害保険会社または代理店に相談する——順番はこれです。

手数料として保険金の3〜4割を求められた、工事をやめようとしたら違約金を請求された、という形の相談が実際に寄せられています。保険会社への連絡を業者に代行させると、この位置に立たされます。

台風など災害のあとの屋根については、台風のあと、屋根が気になったらで被害の種類と手順を分けて書いています。

契約してしまったときの8日間

訪問販売で契約した場合、特定商取引法のクーリング・オフが使えます。

  • 対象:営業所等以外の場所(自宅など)で申込み・契約をしたもの
  • 期間:法律で決められた書面を受け取った日から数えて8日以内
  • 方法:書面または電磁的記録(メール等)で通知する

ここで一点、知っておいたほうがいいことがあります。自分から業者を呼んだ場合は、適用除外になりうるという規定です(特定商取引法26条6項1号)。

ただし消費者庁の解説では、適用除外になるのは、購入者が契約の申込み・締結をする意思をあらかじめ持っていて、自宅で契約したい旨を明確に意思表示した場合に限られるとされています。単なる問い合わせや、修理を頼んだだけの段階は、これにあたらないという整理です。

とはいえ、「こちらから電話した」という事実は、もめる材料になります。チラシやネット広告を見て自分で呼んだ相手ほど、その場で契約しない——この姿勢で臨むのが現実的です。

判断に迷ったら、消費者ホットライン188(いやや)に電話すれば、お住まいの地域の消費生活センター等につながります。

許可番号を控えておく

もう一つ、玄関先でできることがあります。建設業許可の番号を控えることです。

建設業の許可は2つの一式工事と27の専門工事の計29業種に分かれていて、屋根工事業と塗装工事業はそれぞれ独立した業種です。そして、

  • 請負代金が500万円以上の工事(建築一式工事は1,500万円以上、または延べ面積150㎡以上の木造住宅工事)には許可が要ります
  • 許可の有効期間は5年で、5年ごとに更新しなければ失効します

つまり、屋根の葺き替えや外壁の全面塗装のように500万円に届きうる工事を持ちかけてくる相手なら、許可を持っているのが前提です。500万円未満の工事自体は許可がなくてもできますが、番号を聞いたときの反応は見る価値があります。

控えた番号は、国土交通省の「建設業者・宅建業者等企業情報検索システム」や、許可を出した都道府県の建設業課のページで照合できます。名刺の会社名と、許可を受けている会社名が一致するかまで見てください。

工事を自分でやるか業者に頼むかの線引きは、DIYと業者の分かれ道にまとめています。屋根は高所なので、この記事でも業者側に振り分けている領域です。

実際に頼む段になったら、塗装の相談先一覧から複数社に声をかけて、同じ条件で見積もりを比べてください。

最後に、3つだけ

  1. その場で決めない。急がせる理由は、こちらの都合ではありません
  2. 屋根に上らせない。見えない場所で起きたことは、あとから確認できません
  3. 許可番号を控える。名乗れない相手は、そこで分かります

このうち2番目が、いちばん取り返しがつく場所です。

この記事について

制度が変わっていた、金額が違った、書かれていない窓口がある—— お気づきのことがあれば教えてください。確認のうえ反映し、確認日を書き換えます。

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