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費用

解体の見積もりが「一式」で来たときに分解すべき7つの費目|追加費用が出る条件も先に潰す

解体の見積書は「解体工事一式」で出てくることがあります。仮設・処分・基礎・付帯・整地に分けないと、会社どうしを比べられません。分解の仕方と、地中障害や残置物で追加が出る条件、着工前に法律で決まっている手続きをまとめました。

目次
  1. 内訳は、この7つに分けて出してもらう
  2. 着工前に、法律で決まっている手続きが3つある
  3. 追加費用が出やすいのは、この5つ
  4. 残置物は、解体業者では処分できないことがある
  5. 見積もりを取る前に、やっておくこと

この記事の情報は2026年9月30日時点で確認したものです。制度や連絡先は変わることがあるため、実際に依頼する前に、お住まいの市区町村や公式の窓口でご確認ください。

「木造2階建て解体工事一式」の1行だけで金額が書かれた見積書は、そのままでは比較できません。

他社の見積書と並べても、どちらが何を含んでいるのか分からないからです。安いほうが整地を含んでいないだけ、ということが起こります。

やることは2つです。各社に同じ形で内訳を出してもらうこと。そして、あとから追加が出る条件を、契約前に文書で確定させておくこと。

内訳は、この7つに分けて出してもらう

「一式」を分解すると、おおむね次の7つになります。金額の相場はここには書きません(現場の条件で動きすぎるため)。見るべきなのは、7つがすべて載っているかどうかです。

費目 何の費用か 抜けていると起きること
1. 仮設・養生 足場、防音シート、散水設備 近隣対応が薄くなり、苦情や中断の原因になる
2. 解体工事 建物本体の取り壊しと手間 ここだけが書かれているのが「一式」の正体
3. 廃材の処分 木くず・コンクリートがら・石膏ボード・混合廃棄物など 品目ごとに処分単価が違う。まとめられていると増減が追えない
4. 基礎の撤去 布基礎・ベタ基礎・杭の撤去 「基礎は別途」で後から請求されやすい
5. 付帯工事 ブロック塀、門扉、庭木、カーポート、物置、浄化槽 残ったまま引き渡され、自分で手配することになる
6. 整地 ならし、転圧、砕石敷き 売却・駐車場化の予定があると、結局あとで別発注になる
7. 諸経費 届出書類、現場管理、保険 内訳がないと値引き交渉の対象が分からない

とくに3の処分費は、木くずとコンクリートがらと混合廃棄物で単価が違います。「廃材処分 一式」ではなく、品目ごとにトン単価と想定数量で出してもらうと、他社と並べたときに差が読めます。

「解体費は安いが処分費が高い」「解体費は高いが整地まで入っている」という形の違いが、ここで初めて見えます。

着工前に、法律で決まっている手続きが3つある

見積もりの話に入る前に、避けられない手続きを押さえておきます。どれを誰がやるのかが、見積書の「諸経費」の中身に効いてきます。

1. 建設リサイクル法の届出(発注者の義務)

一定規模以上の工事は、分別解体等の計画を都道府県知事へ届け出る必要があります。

工事の種類 規模
建築物の解体 延べ床面積 80㎡以上
建築物の新築・増築 延べ床面積 500㎡以上
建築物の修繕・模様替 請負代金 1億円以上
その他の工作物 請負代金 500万円以上

期限は工事に着手する日の7日前までです。

そして重要なのは、この届出の義務者は施工業者ではなく、発注者(または自主施工者)である点です(建設リサイクル法第10条)。届出をしなかった場合は、20万円以下の罰金と定められています(第51条第1号)。

実務では業者が代行することが多い手続きですが、義務を負っているのは依頼した側です。見積もりの段階で「届出は御社が代行しますか、委任状は必要ですか」と確認してください。ここが宙に浮いたまま着工日が近づく、という形が一番まずいです。

2. 石綿(アスベスト)の事前調査と報告

建物を壊す前に、石綿を含む建材があるかどうかの事前調査が必要です。こちらは施工者側の義務です。

報告が必要になる規模は次のとおりです。

  • 建築物の解体:床面積の合計 80㎡以上
  • 建築物の改修:請負代金 100万円以上(税込)
  • 工作物の解体・改修:請負代金 100万円以上(税込)

報告先は都道府県等と労働基準監督署の両方で、電子システム(石綿事前調査結果報告システム)を使えば1回の操作で両方に報告できます。この報告制度は2022年4月1日から始まっています。

さらに、2023年10月から、建築物の事前調査は厚生労働大臣が定める講習を修了した者等が行う必要があります。工作物については2026年1月からです。調査結果の記録と作業状況の写真は、いずれも3年間の保存が必要です。

見積書に石綿の調査費・分析費・除去費がどう入っているかは、必ず確認してください。「調査の結果、含有が確認されたら別途見積もり」という書き方は珍しくありませんが、その場合に何をどう再見積もりするのかの条件まで文書にしておくと、後の話し合いが早く済みます。

3. 建物滅失登記(壊したあと1か月以内)

建物を取り壊したら、滅失の日から1か月以内に、建物の滅失の登記を申請する必要があります(不動産登記法第57条)。申請先は建物の所在地を管轄する法務局です。

正当な理由なく怠ると、10万円以下の過料と定められています(同法第164条)。

これは工事そのものではなく、建物の所有者側の手続きです。業者が用意する「取毀証明書(建物滅失証明書)」が必要書類になるので、契約時に「証明書は出してもらえますか」と確認しておくと、あとで探し回らずに済みます。

追加費用が出やすいのは、この5つ

見積もりが上振れする理由は、だいたい決まっています。契約前に、それぞれ「出たらどうするか」を文面にしておくのが、いちばん効きます。

  1. 地中障害 — 掘ってみたら古い基礎、コンクリートがら、井戸、浄化槽、廃棄物が埋まっていた。掘るまで分からないので、見積もりに含められません。「地中障害が出た場合は、写真と数量を提示のうえ再見積もり」という一文を契約書に入れてもらってください。
  2. 残置物 — 家具・家電・衣類・布団が残っている状態。後述しますが、これは解体費とは別の問題です。
  3. 前面道路が狭い — 大型トラックや重機が入れないと、小型車両での小運搬や手壊しが増え、日数が延びます。現地を見ずに出された見積もりは、ここで動きます。
  4. 隣家との距離が近い — 養生を厚くする、手壊しの範囲を広げる、といった対応が必要になります。
  5. 付帯物の追加 — 塀の基礎、庭木の根、物置の土間コンクリート。「塀の撤去」は含まれていても「塀の基礎」は別、という分け方があります。

1と2は事前に潰せませんが、3と4は現地調査で確定します。現地を見ずに図面と写真だけで出した金額は、あくまで概算です。複数社に声をかけるなら、全社に現地を見てもらってから金額をもらってください。

残置物は、解体業者では処分できないことがある

見落とされやすいところなので、分けて書きます。

建物と一体でない残置物(家具・家電・生活用品)は、解体で出た廃材とは扱いが違います。処理の責任は建築物の所有者等にあり、解体工事の元請業者が排出者として処理することはできない、という整理になっています(環境省の平成30年6月22日付け通知を受けた各自治体の案内による)。

一般の住宅から出る残置物は一般廃棄物にあたるため、市町村のルールに従って処理します。市町村の一般廃棄物処理業の許可を持たない業者に処分を任せることは、法律上できません。

つまり、「残置物もまとめて処分しておいて」は、頼み方によっては相手を違法状態に置くことになります。

やることは2つです。

  • 自分で片付けてから引き渡す(解体費の処分項目が減るので、金額にも効きます)
  • 許可を持つ業者に、解体とは別に頼む

不用品の出し方や、許可を持つ業者の探し方はごみ・不用品の窓口にまとめています。実家をまるごと片付ける段取りは遠方の空き家をどう管理するかも参考にしてください。

見積もりを取る前に、やっておくこと

順番に並べると、こうなります。

  1. 図面と登記情報を探す — 延べ床面積が80㎡以上かどうかで、届出の要否が変わります
  2. 残置物を自分で片付ける、または別途手配する — ここを解体業者に丸投げしない
  3. 全社に現地を見てもらう — 道路幅と隣家との距離は、現地でしか確定しません
  4. 同じ7費目の形で内訳を出してもらう — フォーマットを揃えないと比較になりません
  5. 届出の代行と委任状の有無を確認する — 義務者は発注者です
  6. 石綿の調査費と、含有が確認された場合の扱いを文書にする
  7. 地中障害が出た場合の再見積もりの条件を契約書に入れる
  8. 取毀証明書を出してもらう約束を取り付ける — 滅失登記に使います

この8つを揃えてから金額を並べると、「安いほう」ではなく「何を含んでいるほう」が選べます。

解体を頼める会社は解体の窓口から探せます。会社を選ぶときに見るべき違いは解体業者の「登録」と「建設業許可」は別ものにまとめています。

出典:建設リサイクル法の届出(福島県)/建設リサイクル法に違反した場合の罰則(東京都都市整備局)/石綿事前調査結果の報告制度(環境省)/改正石綿則のポイント(厚生労働省 石綿総合情報ポータルサイト)/建築物の解体時等における残置物の取扱いについて(栃木県)

この記事について

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