排水管の高圧洗浄を訪ねてくる業者|洗うのに指定は要らない、つくり替えは指定工事店
排水管の高圧洗浄そのものに公的な指定や資格は要りません。指定工事店が必要になるのは排水設備の新設・改築のほう。「神奈川県排水設備指定工事店」という名乗りは存在せず、県内の市町も注意を出しています。
この記事の情報は2026年9月30日時点で確認したものです。制度や連絡先は変わることがあるため、実際に依頼する前に、お住まいの市区町村や公式の窓口でご確認ください。
「排水管の高圧洗浄キャンペーンです」「無料で点検します」。チラシが入り、あるいはインターホンが鳴る。
結論から書きます。排水管を洗うという作業そのものには、公的な指定も許可も要りません。だから「うちは指定されている」という説明は、洗浄の話である限り、意味を持ちません。指定が要るのは別の工事のほうです。
洗う仕事と、つくり替える仕事は別もの
下水道法第10条は、公共下水道の排水区域内の土地の所有者・使用者・占有者に対し、下水を流すための排水設備を設置する義務を課しています。そして同条第2項で、その清掃その他の維持は、その土地の占有者が行うものとされています。
つまり、敷地の中の排水管は個人の持ち物で、掃除も自分の責任。市役所が個人宅の排水管を清掃したり、そのために業者を回らせたりすることはありません。
一方で、排水設備を新しくつくる・つくり替える工事には縛りがあります。これは市町村の下水道条例で定められていて、たとえば横浜市下水道条例第38条第1項は「排水設備の新設等の工事及び処理区域内におけるくみ取便所の水洗便所への改造工事は、市長の指定する者(以下『排水設備指定工事店』という。)でなければ行うことができない」と定めています。
| 洗浄・清掃 | 新設・改築(つくり替え) | |
|---|---|---|
| 指定工事店 | 要らない | 必要 |
| 決めている法令 | ― | 各市町村の下水道条例 |
| 費用の負担 | 所有者・占有者 | 所有者・占有者 |
読み替えると、こうなります。「指定工事店です」と洗浄の勧誘で言われても、その肩書きは洗浄の腕前を保証しません。逆に、洗浄のついでに「管を替えたほうがいい」と言われたなら、そこから先は指定を受けた工事店の領分です。
「神奈川県排水設備指定工事店」は存在しない
県内の自治体が繰り返し打ち消しているのが、この名乗りです。
三浦市は「排水設備の点検商法にご注意を!」(2022年12月22日更新)で、「"神奈川県排水設備指定工事店"というものは存在しません」とはっきり書いています。指定は各市町村が行う制度で、県が指定する仕組みではないからです。
逗子市も「下水・排水設備の『排水管高圧洗浄』などの点検商法にご注意ください」(2024年7月30日更新)で同じ趣旨を示し、あわせて、個人宅の排水設備は個人の所有物であり市が業者に委託することはないこと、通常の使い方をしている限り詰まったり壊れたりはほとんどないことを挙げています。
寒川町の「悪質業者によるトラブルに注意」(2024年11月25日更新)は、もう少し具体的です。「道路の下水道管を清掃するために薬品を使うので、民地内の排水管の清掃も必要。無料でやるので水道と電気を使わせてほしい」と訪ねてくる例を挙げ、道路に埋まっている下水道管の清掃に薬品を使うことはないと否定しています。断ると威圧的な言動になる事例も報告されています。
国民生活センターも2020年10月15日に「排水管の点検や洗浄の勧誘にご注意!」を公表しています。相談件数は2015年度1,624件から2019年度2,149件へ増加。チラシに「3,000円」と書きながら、実際は「1mあたり6,000円で8m」といった計算で数万円を請求された、という手口が紹介されています。
その場で判断しないための3つ
- 敷地に入れる前に社名と担当者名を聞く。寒川町は、町との関係をにおわせる相手には町が発行する身分証明書の提示を求めるよう案内しています。三浦市も職員証の提示を求めるよう書いています。
- チラシの小さな字を読む。単価が「1mあたり」なのか、何mまで含むのか、桝の数で変わるのか。総額がどこにも書かれていないチラシは、そこが空欄のまま契約することになります。
- その場でサインしない。必要な工事なら、明日でも来週でも必要です。急かす理由がある側は、たいてい売る側です。
契約してしまったら、8日間
訪問販売で契約した場合、法律で決められた書面を受け取った日から数えて8日以内であれば、書面または電磁的記録で申込みの撤回・契約の解除(クーリング・オフ)ができます(特定商取引法第9条)。工事が終わっていても、この期間内なら対象です。ただし、3,000円未満を現金で支払った取引など、適用除外となる場合もあります。
迷ったら、消費者ホットライン「188」。お住まいの地域の消費生活センターにつながります。逗子市のページでは、市の消費生活センター(046-873-1111 内線274)とかながわ中央消費生活センター(045-311-0999)が案内されています。
本当に詰まっているときは
もちろん、実際に流れが悪いこともあります。その場合でも、頼む順番は変わりません。まず症状を確かめ、複数から見積もりを取り、総額と作業範囲を文字にしてもらう。
- 匂いだけが上がってくるなら、詰まりではないことがあります → 排水口が下水臭い|コップ1杯の水で直ることがあります
- 下水・排水設備の相談先を探す → 下水・排水設備
- 横浜市内の事業者を見る → 横浜市の下水・排水設備
向こうから来た相手に、その場で決めない。この記事で言いたいことは、それだけです。
参考にした公式ページ
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