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外壁塗装の相見積もりが比べられない理由|数量と塗料を揃えると差が見える

3社から取ったのに比べられない。原因は「一式」表記と、面積の出し方が社ごとに違うことです。国の積算基準での面積の数え方と、メーカーが公表している期待耐用年数を軸に、揃え方を整理しました。

目次
  1. 「一式」は比較を止める書き方
  2. 塗る面積は、どこからどこまでか
  3. 足場は、塗装面積とは別の数字で出る
  4. 下地処理・高圧洗浄・養生は、内訳に出るべきもの
  5. 塗料は「品名」で揃える。年数はメーカーの数字で見る
  6. 「一式」で来た見積もりに、こう聞き直す

この記事の情報は2026年9月30日時点で確認したものです。制度や連絡先は変わることがあるため、実際に依頼する前に、お住まいの市区町村や公式の窓口でご確認ください。

3社から見積もりを取った。金額は並んだ。でも、どれが安いのか分からない。

原因はほぼ決まっています。数量が書かれていないか、社ごとに違う面積で計算されているか、塗料のグレードが違うかのどれかです。金額の大小より先に、この3つを揃えます。

揃えるのは2つだけです。塗る面積(㎡)と塗料の品名。これが同じなら、残った差は施工の手間と会社の取り分の差になり、初めて比べられます。

「一式」は比較を止める書き方

外壁塗装工事一式 ○○円。この1行だけでは、何が入っていて何が入っていないかが分かりません。

国が発注する工事では、塗装の数量は面積や長さで拾うことが決まっています。公共建築数量積算基準(令和5年改定)では、塗装の塗替えについて「塗装の仕様ごとに区分し、その数量は設計寸法による面積、長さ及び箇所数とする」とされています。

住宅の塗り替えに国の基準を適用する義務はありません。ただ、面積で出せるものだということは、この基準が示しています。「一式」で来たら、㎡で出し直してもらって構いません。

塗る面積は、どこからどこまでか

同じ家なのに、A社が120㎡、B社が145㎡と書いてくることがあります。窓の扱いが違うと、この程度はずれます。

公共建築数量積算基準では、仕上の面積をこう数えます。

  • 主仕上の数量は、躯体または準躯体表面の設計寸法による面積から、建具類等の開口部の内法寸法による面積を差し引いた面積とする
  • ただし、開口部の面積が1か所当たり0.5㎡以下のときは、開口部による欠除は原則としてないものとする
  • 塗装・吹付材による表面処理の数量は、原則として表面処理すべき主仕上の数量による

つまり、窓やドアは引く。ただし小窓(0.5㎡以下)は引かずに壁として数える、という考え方です。凹凸のある面については、糸幅による面積で拾う定めもあります。

ここから、見積書に対して聞けることが決まります。

  1. この㎡は、窓を引いた数字ですか
  2. 引いた窓の内訳(箇所数と寸法)はありますか
  3. 軒天、破風、雨樋、雨戸、庇は、この㎡に含まれますか。別項目ですか

3が食い違っていると、安いほうが単に塗る場所が少ないだけ、という結果になります。

足場は、塗装面積とは別の数字で出る

足場が別項目になるのは、別の数え方をするからです。

公共建築数量積算基準では、足場を「工事施工に伴う内外の高所作業(2.0m以上)の作業床、通路として工事関係者の安全確保のために設置する仮設の構築物等」と定義し、外部本足場の数量をこう決めています。

外部本足場の数量は、足場の中心の水平長さと構築物等の上部までの高さによる面積とする。足場の中心は、作業幅を考慮し、構築物等の外壁面から1.0mの位置を標準とする。

外壁より1周ぶん外側を、屋根の上まで立ち上げた面積です。だから足場の㎡は塗装の㎡より大きく出ます。両者が同じ数字で書かれている見積書は、どちらかが流用されています。

そして足場は、屋根塗装や雨樋の交換と同時にやれば1回で済みます。別々の年に頼むと2回払う項目なので、屋根や付帯部をいつ触るかは、塗装を決める前に考えたほうが得です。マンションの外壁調査でも同じ構図になります(外壁の全面打診調査)。

下地処理・高圧洗浄・養生は、内訳に出るべきもの

塗料を塗る前の工程は、見えなくなる代わりに、持ちを決めます。国土交通省の公共建築改修工事標準仕様書(建築工事編)令和7年版では、塗装改修工事の「下地調整」が独立した節になっていて、コンクリート面の下地調整の工程が種別ごとに定められています。

工程 内容
既存塗膜の除去 全面除去するか(RA種)、劣化しぜい弱な部分を除去して活膜は残すか(RB種)
汚れ、付着物除去 素地を傷つけないようにワイヤブラシ等により除去する
ひび割れ部の補修 外壁改修工事の章による

塗替えでRB種の場合、既存塗膜の除去範囲は特記による。特記がなければ劣化部分は除去し、活膜部分は残すとされています。「どこまで剥がすか」は、決めて書いておく事項だということです。

高圧洗浄も、同じ仕様書のなかで「高圧水洗工法」として定められた工法です。外壁改修の章では、高圧水洗機の加圧力はコンクリート表面や既存塗膜の付着強度によって違うため、試験施工を行って承諾を受ける手順まで書かれています。加圧力ひとつで結果が変わる工程として扱われている、ということです。

見積書に対しては、次の項目が立っているかを見ます。

  • 高圧洗浄(㎡)
  • 下地調整・素地ごしらえ(㎡または箇所数。ひび割れ補修はmまたは箇所数)
  • 養生(㎡またはm)
  • 下塗り/中塗り/上塗り(それぞれ㎡。使う塗料の品名つき)
  • 足場(㎡)、飛散防止ネット
  • 付帯部(軒天、破風、雨樋、雨戸、庇。それぞれ㎡またはm)
  • 廃材処分、諸経費

この形になっていれば、2社の見積書を横に並べて行ごとに比べられます。

塗料は「品名」で揃える。年数はメーカーの数字で見る

「シリコン塗料です」では揃いません。同じシリコンでも製品が違います。メーカー名と品名、そして何回塗るかまで書いてもらいます。

耐用年数は、メーカーが自社製品について公表している数字で見るのが確実です。たとえばエスケー化研は、製品ページに「期待耐用年数」を載せています。

製品(エスケー化研) 樹脂 期待耐用年数
クリーンマイルドウレタン ウレタン樹脂系 10〜12年
エスケープレミアムシリコン ハイブリッドシリコン樹脂 14〜16年
クリーンマイルドフッソ ふっ素樹脂 15〜20年

同社はこの数字に注記を付けています。「期待耐用年数は、次の塗り替え時期の目安です。地域、立地条件、方角等により異なりますので、参考値としてお考えください」。日当たりや海からの距離で変わる、という前提つきの数字です。

すべてのメーカーが期待耐用年数を公表しているわけではありません。公表がない製品については、カタログにある促進耐候性試験の結果や、JIS A 6909の耐候形の等級(1種・2種・3種)が判断材料になります。提案された製品名でメーカー公式サイトを引く、これだけで塗料の話は足ります。相場サイトの年数は、メーカーの数字とは別のものです。

塗り替えの周期が10年と16年で違うなら、1回の金額差は年あたりに割って考えられます。高いほうが割高なのかどうかは、そこまで来れば判断できます。

自分でやるか業者に頼むかから迷っている場合は、DIYと業者の分かれ道を先に見てください。外壁は高所と面積の両方に当たる領域です。声をかける先は塗装の相談先一覧から選べます。

「一式」で来た見積もりに、こう聞き直す

そのまま読み上げて構いません。

  1. 塗装面積は何㎡ですか。窓などの開口部は引いてありますか。引いた箇所数と寸法を教えてください
  2. その面積は実測ですか、図面からですか、延床面積からの概算ですか
  3. 軒天・破風・雨樋・雨戸・庇は、その面積に入っていますか。別項目ですか
  4. 足場は何㎡ですか。飛散防止ネットは含まれますか
  5. 高圧洗浄・下地調整・養生は、それぞれ行として出せますか。既存塗膜はどこまで除去しますか
  6. 下塗り・中塗り・上塗りに使う塗料の、メーカー名と品名を教えてください
  7. その塗料の期待耐用年数は、メーカーが何年と公表していますか
  8. 見積書に含まれていない工事があれば、書き出してください

この8つに全部答えた見積書が2通そろえば、比べられます。答えられない項目が残る会社を落とすのではなく、答えがそろった書面どうしで比べる——それが相見積もりの本来の形です。

この記事について

制度が変わっていた、金額が違った、書かれていない窓口がある—— お気づきのことがあれば教えてください。確認のうえ反映し、確認日を書き換えます。

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