浄化槽の保守点検・清掃・法定検査|3つは別ものです、頼む先も3か所に分かれます
浄化槽の管理者に課された義務は3つあり、根拠の条文も、許認可の種類も、頼む相手も別々です。保守点検は都道府県の登録業者、清掃は市町村の許可業者、法定検査は知事が指定した検査機関。神奈川県は2機関が分担しています。
この記事の情報は2026年9月30日時点で確認したものです。制度や連絡先は変わることがあるため、実際に依頼する前に、お住まいの市区町村や公式の窓口でご確認ください。
「毎年業者に点検してもらっているのに、また別のところから検査の案内が来た」。浄化槽を使っているお宅で、いちばん多い引っかかりがこれだと思います。
二重請求ではありません。浄化槽法が求めている義務は3つあって、しかもそれぞれ別の許認可を持つ、別の事業者が行うことになっているからです。
3つの義務と、その違い
浄化槽を使っている人は「浄化槽管理者」と呼ばれ、次の3つが義務になります。
| 何をするか | 回数 | 根拠 | 頼む相手 | |
|---|---|---|---|---|
| 保守点検 | 装置の調整・消毒剤の補充・状態の確認 | 年3回以上(家庭用の多くの方式) | 浄化槽法第8条・第10条 | 都道府県の登録を受けた保守点検業者 |
| 清掃 | 溜まった汚泥の引き抜きと洗浄 | 年1回以上 | 浄化槽法第9条・第10条 | 市町村長の許可を受けた清掃業者 |
| 法定検査 | 上の2つが適正か、水質を含めて第三者が確かめる | 毎年1回(11条検査) | 浄化槽法第11条第1項 | 知事が指定した指定検査機関 |
回数について補足します。神奈川県のページでは、保守点検は年1回以上(処理方式・処理対象人員により異なる)、清掃は年1回以上(全ばっ気方式は半年に1回以上)と整理されています。実際の家庭用でよくある処理対象人員20人以下の合併処理浄化槽(分離接触ばっ気方式、嫌気ろ床接触ばっ気方式、脱窒ろ床接触ばっ気方式)は、浄化槽法施行規則で4か月に1回以上と定められています。つまり年3回以上です。ご自宅の方式が分からなければ、保守点検の記録票に書かれています。
もうひとつ、設置したばかりのときだけ受ける検査があります。使用開始後3〜5か月以内に1回行う7条検査(浄化槽法第7条第1項)です。これは11条検査とは別ものなので、新築で浄化槽を入れた年は検査が2回来ることになります。
なぜ3つに分かれているのか
やった人が自分で採点しないようにするためです。
保守点検と清掃は、浄化槽を良い状態に保つための作業です。法定検査は、その作業が実際に効いているかを外から確かめるもの。だから法定検査は、日ごろの点検を担当している業者ではなく、知事が指定した検査機関が行います(浄化槽法第57条)。
許認可の種類も揃っていません。
- 保守点検業……都道府県などの登録(浄化槽法第48条に基づく条例)
- 清掃業……その区域を管轄する市町村長の許可(浄化槽法第35条)
- 法定検査……知事の指定を受けた機関だけ(浄化槽法第57条)
「登録」「許可」「指定」と言葉が違うのは、根拠の条文が違うからです。ひとつの会社が3つ全部を代わりにやってくれる、ということは制度上ありません。(点検と清掃の両方の資格を持つ会社はあります。)
神奈川県の法定検査は、2つの機関が分担
法定検査は自分で相手を選べません。区域ごとに、県知事が指定した機関が決まっています。県のページ(2026年6月3日更新)によると、2機関が分担しています。
公益社団法人 神奈川県生活水保全協会(横浜市磯子区洋光台6-1-1/045-830-5721) 横浜市、川崎市、相模原市、横須賀市、鎌倉市、藤沢市、逗子市、三浦市、厚木市、大和市、海老名市、座間市、綾瀬市、葉山町、愛川町、清川村
一般社団法人 神奈川県保健協会 西湘支所(二宮町中里731-1/0463-73-0511) 平塚市、小田原市、茅ヶ崎市、秦野市、伊勢原市、南足柄市、寒川町、大磯町、二宮町、中井町、大井町、松田町、山北町、開成町、箱根町、真鶴町、湯河原町
お住まいの市町村がどちらの区域か分からない場合は、県のページで確認してください。
保守点検業者を探すときの落とし穴
保守点検業者は都道府県の登録なので、県が名簿を公開しています。ただしこの名簿には対象外の区域があります。
神奈川県のページには、営業区域が横浜市・川崎市・相模原市・横須賀市・藤沢市・茅ヶ崎市(寒川町を含む)の各市内の場合は、別途各市長(横浜市を除く)の登録を受ける必要がある、と書かれています。これらは保健所を設置している市などで、県の所管から外れる区域です。
つまり、この6市と寒川町にお住まいなら、県の名簿を見ても地元の業者が載っていないことがあります。その場合は市(町)の担当課に問い合わせるのが早道です。清掃業の許可も市町村単位なので、清掃業者は最初から市町村に聞くことになります。
まず何をするか
- 手元の書類を見る。保守点検の記録票、清掃の記録、法定検査の結果書。それぞれ社名が違うはずです。違っていれば、3つとも回っています。
- 足りないものを特定する。多いのは「点検と清掃はしているが、法定検査を受けていない」という形です。
- 足りない分だけ頼む。法定検査は上の指定検査機関、保守点検は県または市の登録業者、清掃は市町村の許可業者。
浄化槽の記録は、家を売るとき・貸すときにも見られます。まとめて遡ることはできないので、気づいた年から整えるしかありません。
- 浄化槽まわりの相談先を探す → 浄化槽
- 下水・排水設備全般 → 下水・排水設備
- そもそも上水と下水で窓口が違う話 → 上水道と下水道の違い
参考にした公式ページ
この記事について
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