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神奈川県の擁壁・がけ地の補助金まとめ|13市町の制度を条件・上限額で比較(2026年版)

神奈川県内で擁壁やがけの防災工事に補助金を出しているのは13市町。補助率は3分の1か2分の1か、上限は400万円か50万円か、対象になるがけの高さや角度まで、自治体ごとにかなり違います。各市町の公式情報をもとに、横並びで比べられるように整理しました。

2026.08.22 更新

擁壁の工事は、金額が大きくなりやすい工事です。数百万円という見積もりを見て、そこで手が止まってしまう方も少なくないと思います。

そこで一度確かめてほしいのが、住んでいる市町に擁壁やがけの防災工事に使える補助金があるかどうかです。神奈川県内では13の市町が制度を持っています。しかも中身は自治体ごとにかなり違います。補助率が3分の1のところと2分の1のところがあり、上限額は50万円から500万円まで開きがあります。同じ工事でも、市が違えば戻ってくる額が10倍近く変わることがある、ということです。

このページでは、神奈川県が公表している一覧をもとに、各市町の公式情報をあたって条件を横並びにしました。数字はすべて各市町の公式ページ・要綱から引いています(出典は末尾)。

まず前提:神奈川は「がけ地の県」でもある

神奈川県は、令和7年3月末時点で31市町村・10,332区域を土砂災害警戒区域等に指定しています。丘陵地を切り開いた住宅地が多く、擁壁とともに暮らしている家がそれだけあるということです。

県自身も、市町の助成制度をまとめてリンク公開しています。制度が県内に広く存在するのは、それが必要とされてきたからです。

13市町の制度を比べる

擁壁などの防災工事(本体)

市町 制度名 補助率 上限額
横浜市 崖地【防災】対策工事助成金 1/3 400万円
横浜市 崖地【減災】対策工事助成金 1/2 100万円 または 50万円
川崎市 宅地防災工事助成金(防災) 1/3 300万円
川崎市 宅地防災工事助成金(減災) 1/3 100万円
相模原市 宅地防災対策工事助成金(防災) 1/3 300万円(税抜)
相模原市 宅地防災対策工事助成金(減災) 1/3 100万円(税抜)
横須賀市 既成宅地防災工事等助成(工事費) 1/2 500万円
鎌倉市 既成宅地等防災工事資金助成(防災工事) 1/2 500万円
逗子市 防災工事費助成金 1/2以内 200万円
秦野市 既成宅地防災工事補助金(構造物等) 1/2 200万円
厚木市 急傾斜地安全対策工事補助金(自然がけ) 1/2 300万円
厚木市 急傾斜地安全対策工事補助金(人工がけ) 1/3 300万円
葉山町 がけ地防災対策工事費等補助金 1/2 200万円
松田町 災害予防対策助成金 1/2 50万円
愛川町 急傾斜地安全対策工事等補助金 1/3以内 300万円

上限500万円の横須賀市・鎌倉市と、50万円の松田町。同じ県内でこれだけ差があります。

立木の伐採・土砂の撤去(工事本体とは別枠)

擁壁工事そのものではなく、がけの上の木を切る崩れた土砂を片づけるという費用に別枠を用意している自治体もあります。ここは見落とされやすいところです。

市町 内容 補助率 上限額
横須賀市 立木伐採工事 1/2 30万円
横須賀市 災害崩落土砂の搬出・運搬・処分 1/2 30万円
横須賀市 ビニールシート設置 1/2 10万円
鎌倉市 伐採工事 1/2 100万円
逗子市 木竹の伐採および運搬処分 1/2以内 10万円
秦野市 排水施設工事 1/2 15万円
秦野市 風水害による土砂・倒木の撤去 1/2 10万円
厚木市 立木伐採 1/2 100万円
愛川町 危険木の伐採・撤去・処分 1/2以内 30万円
松田町 災害復旧工事損失補填助成金 1/2 25万円
横須賀市 設計費 1/2 5万円
横須賀市 地質調査費 1/2 30万円

横須賀市は設計費と地質調査費にも助成があります。工事の前段階でお金がかかるところに手当てがあるのは、実務的にはありがたい設計です。

対象になる「がけ」の条件

補助率だけ見て期待しても、そもそも自分の家のがけが対象外なら話が始まりません。条件を確認できたものを並べます。

市町 高さ 角度 その他の要件
横浜市 地盤面から2mを超える(道路等に被害の恐れがある場合は道路面から上方1mまたは下方2mを超える) 30度以上 崖崩れで住宅または道路等に被害が及ぶ恐れ
川崎市 2mを超える 記載なし 人工崖は築造から10年超/土地所有者が5年以上変わっていないことが原則
横須賀市 2m以上 30度以上 制度の利用は一度限り/受給後5年間は譲渡・売買禁止/施工者は市内競争入札参加資格者
鎌倉市 設置構造物の地上高2.0m以上 記載なし 新築後、防災工事は10年・伐採工事は5年を経過
逗子市 垂直高2m以上 30度以上 営利目的・仮設工事は対象外
秦野市 2m以上 30度以上 補助対象地一筆につき1回限度/崖崩れ発生時は発生日から90日以内に申請
厚木市 2m以上 30度以上 がけの下端または上端から、がけの高さの2倍の水平距離の範囲内に家屋または道路がある
葉山町 地盤面から2m以上 30度以上 自然がけ/区分所有地は総会決議、共有地は全員承諾
愛川町 記載なし 記載なし 急傾斜地崩壊危険区域または土砂災害警戒区域等の指定区域内(または町長が同等と認める土地)
相模原市 擁壁の高さが2mを超える旨の記載 記載なし 申請年度の2月28日までに完了報告書の提出が必要

「高さ2m以上・角度30度以上」が事実上の共通ラインです。愛川町だけは高さ・角度ではなく、区域指定されているかどうかで判断されます。

見落とすと使えなくなる注意点

制度の細部より、まずここを押さえておくほうが実害を防げます。

申請は工事の前。 ほぼすべての自治体が、交付決定より前に契約・着工していたら対象外としています。横浜市は「交付決定前に工事契約又は工事に着手している場合は、助成金制度の利用はできません」と明記しています。見積もりを取って納得したから発注、では間に合いません。業者を決める前に市の担当課に相談するのが正しい順番です。

現地調査が入る。 川崎市・鎌倉市・厚木市などは、申請前の現地確認や事前相談を必須にしています。日程の分だけ工事は後ろにずれます。

回数と期限の制限がある。 横須賀市は一度限り、秦野市は対象地一筆につき1回。災害後の申請には期限があり、秦野市は崖崩れ発生から90日以内です。

予算枠がある。 厚木市・愛川町は予算の範囲内と明記しています。年度後半になるほど不利になる可能性があります。

施工業者に条件がつく場合がある。 横須賀市は市内の競争入札参加資格者に限定されています。頼みたい業者が資格を持っていなければ、補助は使えません。

受給後に売れない期間がある。 横須賀市は受給後5年間の譲渡・売買を禁止しています。売却前提で直す場合は要注意です。

制度がない市町に住んでいる場合

神奈川県内で助成制度を確認できたのは13市町です。それ以外の市町村には、この形の制度は見つかりませんでした。ただし制度は年度で新設・拡充されることがあります(葉山町は令和6年度に対象工法と申請者の範囲を拡大しています)。「うちの市にはない」と結論する前に、その年度の一次情報を確認する価値はあります。

進め方

  1. 自分の家のがけの高さと角度をおおまかに把握する(2m・30度が目安)
  2. 市の担当課に電話して、対象になりそうか確認する
  3. 現地調査を受ける
  4. 交付決定を受けてから契約・着工する

順番を守るだけで、使えるはずの数百万円を取り逃がさずに済みます。

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出典

制度の内容は年度によって変わります。申請前に必ず各市町の担当課で最新の条件をご確認ください。金額・条件は2026年8月時点で確認したものです。